「行政書士のための生成AI入門セミナー 〜未経験から始める、業務に使えるChatGPT活用術〜」について登壇させて頂きました。
経緯については、日本法令様へ生成AIに関する商用記事を何本か寄稿させて頂いていたというご縁から「行政書士のためのセミナー」という企画が持ち上がったことにあります。
・2024年9月 ChatGPTの活用を考えてみませんか?
・2024年10月 ChatGPTの上手な指示の出し方とは?(前編)
・2024年11月 ChatGPTの上手な指示の出し方とは?(後編)
・2025年5月 ChatGPTで進める現場力向上術
日本法令様の運営するサイトにて公開されますので、趣旨などを解説いたします。
あくまでも「未経験の先生方」を受講者設定しておりますので、
既に最大限ご活用の先生方には少々物足りない内容かもしれません。
しかし、私も生成AIについては日々実用化の研究を行っているところで、応用的な活用をしています。
その辺りのノウハウ的な話もエッセンスとしては取り入れていますので、上級者の先生も参考になるかもしれません。
【公開先】GIS行政書士・業務情報サイト(日本法令運営)

はじめに
生成AI、みなさま使っておりますでしょうか。
「手書き時代→ワープロ/パソコン」、「書籍中心の調査→オンライン調査」といった過去の技術革新以上のインパクトを私は感じています。
PC活用とオンライン調査ができない行政書士がディスアドバンテージであったように、今後は「生成AIを使いこなせる専門家なのか」が明確な格差となっていくでしょう。
特に注目すべきは、「業務効率化」というよりも、「創造力の補強」という側面で生じる格差だと考えています。
そのため、本講座においては双方に資する内容を裏設定としています。
本講義で目指すは「生成AIを相棒として使いたおすための土壌づくり」です。
活用レベルとしては導入前~中級あたりでしょうか。
必要なのは「少しの工夫と少しの注意」、その急所を濃縮しました。
講義で学べること
講義の全体像としては、「入門編」ということで導入前の先生の視聴を想定して講義を構築しました。
難解なプロンプトは一切使わずに、例えば次の基本活用例を準備しています。
▶文章校正(第1回)
▶文章要約(第2回)
▶母国語併記(第2回)
▶法令初動調査(第3回)
▶メールや案内文起案(第4回)
▶契約書起案(第4回)
いずれも行政書士業務の中でよく登場するような事例ばかりだと思います。
しかし、あくまでも本講座は「使い倒すための下準備」にすぎません。
例えば2025年8月30日のFacebook記事では次のプロンプトを公開しています。
※国交省が相続空き家に関する調査報告を出した、という文脈。
要約プロンプトの例
「要約してください」と簡単なプロンプトでも十分に出力できると思いますが、与える条件は細かいほど安定すると思います。
特に今回は「専門家が取るべきアクション」を提案させてみました。
# テキストの要約プロンプト
## 前提情報
– 目的:対象テキストの要点を重要度順にテーマ分類し、相続業務に直結する示唆を抽出する。
– 読者:相続業務を行う専門家(行政書士等)。
– 要約範囲:対象テキストの事実のみに基づく。外部知識で補完しない。
– 提案範囲:必要に応じてリアルタイム検索を行い補完する。
– 出力形式:日本語でテキスト表示とする。
## 対象テキスト
– URL:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001907491.pdf
## 要約処理
STEP1:対象テキストをテーマ別に分類してください。
STEP2:テーマ別に要約してください。
– テーマは最大10項目とし、重要度順に記載すること。
– 各テーマは600–800字を基本とし、必要に応じて最大1500字まで可能とする。
STEP3:相続業務の専門家が取るべきアクションを10個提案してください。
上記のプロンプトは公開用で単純なものですが、
日常的に使用しているものはもっと複雑なものを都度設計して活用しています。
例えば本記事については生成AIを使わずに直接推敲していますが、記事の評価や誤植チェック・SEO対策などは生成AIを活用しています。
なぜこれができるのか?
それは「プロンプト・エンジニアリングに精通した」ということもありますが、むしろ「日常的に使いたおしているから」だと思っています。
習うより慣れろ、おそらくこれが奥義です。
すぐに上記程度のプロンプトなら自在に組めるようになると思います。
私が日常的に使用しているのは有償版のChatGPTとClaudeですが、まずは無償版のChatGPTで良いかと思います。
有償版の切り替え時期については「物足りなくなってから」で十分でしょう。
他の生成AI活用についても、まずはChatGPTに慣れてからで良いでしょう。
本講座をきっかけに、日常業務に生成AIを自然に組み込むきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
※上記投稿で公開しているプロンプトは「文章要約」の応用として適宜ご活用ください。
第1回:行政書士の仕事がこう変わる 〜生成AIの実力〜(9/5公開)
第1回目次
1-1 生成AIの可能性
▶基本活用例:文章作成(補足資料①)
1-2 活用のメリットと留意点
▶基本活用例:文章校正(補足資料②)
第1回は特に「全く触れた事がない先生」が対象で、操作デモなど交えながら生成AIとは何か?得手不得手はなにか?など「使いたおすための下地作り」を意識した構成にしています。
得手不得手を把握するというのは意外と重要で、複雑なプロンプトを作成する際にも「この業務って生成AIにやらせれば楽なんじゃないのか?(=生成AIの得意分野か?)」というところを常に意識しています。
生成AIの精度は急速に進化しつつあり弱点も徐々に克服しつつありますが、まずは生成AIの得手不得手を把握して日常業務への転換を意識すると良いと思います。
【第1回のサンプル動画について(日本法令公式アカウントの投稿)】
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第2回:はじめてでも安心!ChatGPT初期設定と基本操作(9/12公開)
第2回目次
2-1 基本情報と導入準備
▶基本活用例:文章要約(補足資料③)
2-2 生成AIのリスク管理
▶基本活用例:母国語併記(補足資料④)
第2回は前回よりも少々レベルアップし、「生成AIを使い始めた先生」を対象としています。
ChatGPTの知っておくべき基本設定であるとか、生成AIを活用するうえで知っておくべきリスクなど使い始めたタイミングで必要なことを重点的にまとめています。
なお、リスク解説については時間的制限もあって概要のみのご案内に留めています。
ただし論点さえ把握できれば、リンクも準備しておりますし専門書を購入するなどしてそこから学習可能かと思います。
生成AI使用上のリスクは我々法律職は必ず把握しておく必要があると思っています。
今回準備した基本活用例はどちらも日常的に私が使っている活用方法の1つです。
特に母国語併記については外国人顧客に対して非常に寄り添った対応ができるので、非常に反響がよく今すぐ導入しても良い話になるかと思います。
行政書士事務所として運用するには、もう少し日本独自の専門用語に対する配慮が必要で、私はもう少し細かい条件指定の入ったプロンプトを都度構築して使用しています。
しかし、講義で紹介した程度のプロンプトであっても十分に機能するかと思います。
今回のシリーズでご紹介する基本活用例の中では一番効果的な事例だと思いますので、是非参考にしてみてください。
【第2回のサンプル動画について(日本法令公式アカウントの投稿)】
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第3回:調査業務がここまで変わる!プロンプト活用術(9/19公開)
第3回目次
3-1 検索サイトと生成AI
3-2 プロンプトの基本
▶基本活用例:法令初動調査(補足資料⑤)
第3回は前回と同様に、「生成AIを使い始めた先生」を対象としています。
生成AIの活用にあたって、まず認識するべきは「検索サイトとの明確な違いを認識すること」です。
そのため、従来のオンライン検索手法の復習のほか、生成AIに調査を行わせてみる、というのを裏テーマとしています。
基本的なところからお話しておりますので、オンライン調査と生成AI活用が根底から違うことが直感的に把握できるのではないかと思います。
まずは「検索サイトと生成AIは全くの別モノである」ということを念頭に置きつつ、プロンプト構築時に私が何を注意しているか?といった視点で解説を行いました。
プロンプト・エンジニアリング(目的の回答にたどり着くための一連の技術)について実は第1~2回でもご紹介しているのですが、第3回の講義を学ぶことで第1~2回で得た知識がより活きる構成にしております。
とはいえ、あくまで本セミナーの趣旨は「入門編」ですので、複雑なプロンプトは一切使用しないという方針ですから、まだ生成AIを導入していないという先生でも支障がないようにしております。
ただし、私自身が日常的に生成AIを活用するにあたってかなり複雑なプロンプト構築を日常的に行っていることは前述のとおりです。
行政書士業務はおそらくもっとも業務範囲が広い法律職です。
それもそのはず、法定業務が下記のように定義されているからです(行政書士法)。
行政書士の専管業務=(あらゆる行政手続・重要な書類作成)- 他士業の専管業務
特に条例などの各種規制法の検討が常に必須ですので、自分が詳しい許認可であっても結局は調査を行う必要があります。
〇〇業をはじめたい、と言っても例えば市街化調整区域であれば基本的にその場所で事業を行うことはできません。
業法の許可は取れても後に大問題になりますが、例えば最近だとノースサファリサッポロの閉園事例などが挙げられます。この事例は飲食など動物園関連手続は適正だったのですが、都市計画法などの各種規制法の手続が適正ではなかったことが最大の要因です。
結果として除却や是正命令などの措置が取られ、閉園という運びになってしまいました。
【関連記事】
(北海道NEWS WEB)【解説】ノースサファリサッポロ 無許可建設 現状と今後
(テレ朝)9月閉園「ノースサファリ」に立ち入り 残された300以上の動物は?
こうした事態にならないようにするためにも、業法の精査は当然として各種規制法を初動で概括的に把握できるというのは行政書士業務で非常に大きな優位性となります。
幻視問題もありますが、結局、専門家である自分が見るので、ここはあまりリスクにはならないというのが実際に使用しての体感となります(一次情報を吟味することで容易に回避可能です。)。
特にこの調査関係では「Deep Research」機能が非常に有用ですので、そちらも解説しました。
第2回でご紹介した「母国語併記」と共に「法令初動調査」は行政書士業務で今すぐ導入しても良い事例トップ2になるかと思います。
実際に使用していて非常に便利だと感じていますので、是非参考にしてみてください。
【第3回のサンプル動画について(日本法令公式アカウントの投稿)】
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第4回:AIは業務の相棒、でも最後に判断するのは行政書士(9/26公開)
第4回目次
4-1 生成AIと行政書士
4-2 文章作成への活用例
▶基本活用例:メールや案内文起案(補足資料⑥)
▶基本活用例:契約書起案(補足資料⑦)
4-3 まとめ
最終回は「生成AIに慣れ始めた先生」を対象としています。
行政書士事務所に限った話ではありませんが、専管業務に限らず、営業・法務・総務・財務まで事務所運営に必要な業務は多岐にわたります。
生成AIはこれら全般に活用可能であるため、まず事務所業務全体を俯瞰したうえで、その適用範囲を整理しました。
重要なのは「生成AIに適した業務か否か」を見極める感覚です。
これを誤ると、期待外れな効率化や誤用につながります。
【基本活用例:メールや案内文起案】
今回の事例では、まず生成AIの出力調整訓練として、メールや案内文の起案を取り上げました。
私自身はタイピングが速いため、効率だけを考えれば自力で打つ方が早いです。
しかし、顧客対応においては「相手に応じた分かりやすい解説」や「苦情処理」など、文章構築の難易度が高い場面が多々あります。
こうした「正解に悩む」局面で生成AIを補助的に活用することは有効です。
例えば、報酬減額を求める顧客メールに対して、複数案を生成させ、その後に評価・修正を行うプロンプトを設計することで、応答品質を客観的に評価検証できます。
これまでの講義を応用すれば次のようなプロンプト構築が可能です。
メール起案プロンプトの例
# メールの起案評価プロンプト
## 前提情報
– 出力形式:日本語でテキスト表示とする。
– 目的:顧客メールに対する適切な返信文を検討する。
– 読者:受任前の個人のお客様
## 起案評価処理
STEP1:顧客メールに対して、適切な返信文を3つ提案してください。
– 顧客は報酬の半額を要求しています。
— 報酬を減額する理由はありません。
– 弊所の標準報酬でなければ受任は難しいと考えています。
— 正規料金であれば弊所としては受任する意向です。
STEP2:提案した3つの文面について、それぞれ10項目コメントを付して100点満点で評価してください。
STEP3:減点箇所について解説を行い、修正案を提案してください。
## 顧客メール
田中先生
返信ありがとうございます。
お願いした業務ですが、報酬10万円は高いです。
5万円でお願いできませんか?
よろしくお願いします。
このように「起案」にとどまらず、「提案」や「評価」までを含めた応用により、生成AIは実務上の検討材料を拡張することができます。
この点が極めて生成AIは強力なツールであり、まさに私が「思考補助」と連呼している理由になります。
【基本活用例:契約書起案】
次に、契約書作成を取り上げました。
行政書士は契約書作成が専管業務ですが(行政書士法)、実際の依頼は定型的ではなく、イレギュラーなものが大半というのが私の実務上の所感です。
そのため講義では「リアカーの貸し借り」という架空事例を題材とし、入門的なプロンプト例を解説しました。
私自身も契約書作成を受任することがありますが、その際には「4-2-6 フレームワーク(参考)」のような手順を踏み、生成AIを補助的に活用しています。
ただし、契約書起案を「生成AIに丸投げ」することは極めて危険です。
民法をはじめとする個別法の理解を前提に、生成AIの提案を咀嚼し取捨選択する姿勢が不可欠です。
例えば委任契約一つをとっても、報酬の支払方法(前払・後払・成果報酬・割合報酬など)により条項設計は大きく異なります。
必要知識は民法だけでなくあらゆる個別法の理解が必要であり、訴訟法を見ても例えば専属的合意管轄の意味を正確に理解しないまま条項を採用してしまえば、後に重大なリスクを招く可能性があります。
特に我々行政書士は法的リスクマネジメントによる予防法務こそが業務の根幹であるといえ、蔑ろにしてはならない姿勢ではないかと思っています。
生成AIはあくまで「思考補助」であり、最終的な判断権限は常に行政書士自身にあることを忘れてはなりません。
即ち、我々専門家は日々の研鑽が不可欠であるわけです。
それは過去も未来も何らの違いはありません。
むしろ、一般の方が判断できないからこそ、専門家の役割がより重要になるでしょう。
【まとめ】
本セミナーは2025年8月に収録しましたが、翌9月末の執筆時点で既に状況は変化しつつあります。
なお、急速な進化をある程度見越して講義を行いましたので、当面の間は有効な内容だとは考えています。
しかし、それでも2年、早ければ1年くらいで陳腐化する可能性があります。
それほどまでに生成AI分野の進化速度は凄まじいと感じています。
私は、生成AIがもたらすインパクトは、ワープロやPCの普及、インターネット検索の進化を超えるものになると考えています。
「生成AIに仕事を奪われる」と悲観するのではなく、
「専門家だからこそ生成AIの活用が求められる」時代に入っているのです。
本セミナーを締めくくる言葉として、専門家に求められる視点を再度強調しておきます。
AIは問いの答えはくれる
正しい問いは専門家にしか出せない
【第4回のサンプル動画について(日本法令公式アカウントの投稿)】
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視聴方法など
本講座は日本法令様が運営するGIS行政書士・情報サイトにて公開されます。
東京行政書士協同組合様に加入済みの先生は「お試し利用登録」にて無料視聴可能とのこと。
組合については基本的に年会費などはないので(初回加入時のみ)、これを機に検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくはリンク先の事務局ご担当者様に直接お問い合わせください。


