近年、「サブスク」と呼ばれる契約形態がインターネットで横行し、請求トラブルが増加していることをご存じでしょうか。
今回は「サブスク」関連のトラブルについて見ていきましょう。
サブスクとは何か?
サブスクとは「サブスクリプション(subscription)」の省略形です。
Wikipediaによると「月単位または年単位で定期的に料金を支払い利用するコンテンツやサービスのこと」とされています。
従来、商品やサービスというものは1度お金を払ったら永久的に使えますよね。
例えば、ゲームをやりたいのであればゲーム機本体とゲームソフトを購入すればずっと遊ぶことができます。
しかし、比較的新しいビジネスモデルとして「サブスク」と呼ばれる手法が様々な分野で見るようになりました。
前述のゲームの話で言えば、ゲームソフトを5000円で購入するのではなく、「ゲームを遊ぶ権利」として月額500円支払い続けるというようなものです。
従来型の商品サービスでは「買い切りタイプ」、サブスクにおける商品サービスでは「継続タイプ」と呼べるかと思います。
サブスクというビジネスモデルが即悪と言うわけでもなく、例えば弁護士の企業法務の顧問料などもサブスクの形態と言えますよね。
相談するたびに相談料を支払うのではなく、毎月いくらいくらとして支払うのです。
相談する側にとっては毎回の相談料よりも安価でしょうし、弁護士サイドとしては毎月固定の報酬が見込めるのでwin-winの関係だと言えます。
しかし、このサブスクというビジネスモデルを悪用した手法がインターネットで散見されるようになってしまいました。
「買い切りタイプ」と思って購入したら、実は月額いくらの「継続タイプ」だったというわけです。
そこで消費者庁は対策を講じることになり、特定商取引法の改正法が令和4年6月1日に施行されて現在に至るという経緯があります(消費者庁ホームページ)。
どんなトラブルがあるの?
単なる勘違いから、非常に巧妙で悪質なものまでサブスク関連のトラブルは様々です。
トラブルの一例として東京都豊島区発行の広報紙がわかりやすかったので一部引用させていただきます。
動画配信サービスの1か月間無料の広告を見つけ申し込んだが、そのまま忘れて一度も利用していない。半年後にクレジットカードの利用確認をしたところ、月額料金として毎月1,500円程の引き落としが続いていた。動画配信サービス会社に連絡し、退会できたが、契約期間中の料金は請求されるとのことだった。
広報としま(令和5年4月11日号)から引用
この事例だと「うっかりさん事案」ともいえ、金額も妥当なところですし、そこまで悪質なものではなさそうです。
しかし、悪質でないだけに日常でよくありそうなトラブルであるとも言えます。
サブスク関連トラブルを回避するためには?
消費者庁が作成したパンフレットが非常にわかりやすかったので、まずはこちらをご覧ください(消費者庁作成)。
リンク切れが生じる可能性もあるので、注意喚起を込めて主要な項目を引用しておきます。
①はじめに、事業者名やサービス内容を確認しましょう
②申込み前に、無料・割引期間や解約方法を確認しましょう
③申し込んだ時に登録した情報を保存しましょう
④毎月、クレジットカード等の支払明細を確認しましょう
消費者庁パンフレットより引用
申込時に確認するというのは悪質な業者だと巧妙な手口でサブスク契約だとわかりにくくしている可能性もあります。
ですので、結局のところ防止策としてはクレジットカードの支払い明細を定期的にチェックするという事が大事になってくるように思います。
トラブルに巻き込まれてしまったら?
最終的なところを言えば裁判ということで弁護士の先生へ相談ということになります(認定司法書士で消費者トラブルに強い先生というのは珍しいかもしれません)。そうなれば、市区町村役場主催の無料法律相談会であるとか、法テラスの利用が現実的なところでしょうか。
しかし、まずは消費者庁のガイドラインに沿って対応することがよろしいかと思います。
行政が行っているサービスで、無料で電話相談を行っています。事案の整理であるとか問題点、チェック事項など交通整理を行ってくれるはずですので、弁護士の先生へ相談する前に行政サービスを受けることをお勧めします。
インターネットをめぐる消費者トラブル(消費者庁ホームページ)
窓口業務としては独立行政法人国民生活センターというものがあります。
消費者ホットライン(tel:188)というものが設けられておりますから、わからなければそちらにお電話するとよろしいかと思います。
お住まいの自治体の消費生活センターにて具体的な相談窓口があります。
窓口の一覧はこちらのページに掲載されているので、188よりも話が早いかもしれません(国民生活センターホームページ)。


