中部経済産業局主催の下記説明会に参加致しましたので、伝統的工芸品産業支援補助金の概略についてなるべくわかりやすく解説をしていきます。
【更新日:2024/2/8】
研修名:令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)説明会/個別相談会 in金沢
日時:令和6年2月7日(水)14:00~16:00
場所:石川県地場産業振興センター/オンライン配信

(参考)
令和5年度「伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)」の公募について(経済産業省)
令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)【公募要領】(経済産業省PDF資料)
伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)Q&A令和6年2月(経済産業省PDF資料)
令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)の公募について(中部経済産業局)
令和5年度「伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)」の公募(伝統的工芸品産業振興協会)
なお、本ページにつきましては最終更新日時点での情報を掲載しております。
なるべく最新の情報をご提供する所存ではございますが、必ず経済産業省のホームページや各申請担当窓口にご確認するようお願い申し上げます。
また、2時間の同説明会内容を掲載してしまうと文章量が膨大になってしまうため、まずは制度概要を理解しやすいよう執筆を心掛けております。
【2/8追記】
本説明会の資料について、中部経済産業局ホームページにて掲載されました。
正確な情報についてはそちらをご参照ください。
そもそも補助金とはどういう制度?
まずは融資との違いを意識すると良いでしょう。
融資は平たく言えば銀行等から資金を「借りること」で、当然返済が必要です。
一方で、補助金というのは国や自治体の支援で、原則として返済の必要がない資金です。
ここで伝統的工芸品産業支援補助金(以下「本補助金」)を考えている方は次の点にご注意ください。
- 実施が先、交付は後
詳しくは後述しますが、例えば本補助金を活用して「壊れた機材を購入する」場合、交付申請の後にまずは自己資金にて購入しなければなりません。
その後の清算払請求によって補助金の交付がなされるという仕組みです。
例外もありますがまずは原則として、この時系列に気を付ける必要があります。
また「自己資金にて購入」については、一時的に銀行から融資を受ける余地もあります。
特に生業支援パッケージ(内閣府)には各種融資の優遇措置も行われており、補助金との組み合わせは大いに検討の余地があると思います。 - 後に交付された補助金の返還という場合もある
例えば「原材料の購入」にて1年程度の見積が必要となりますが、後に「過大である」と認定されてしまった場合には追って返還という可能性もあるので注意が必要です。 - 虚偽申請は絶対に避ける
現在、コロナ関連補助金の虚偽申請が非常に問題となっており、現実に逮捕者まで出ています。
悪い事をすればいずれバレるというのが世の中の道理で、絶対に避けましょう。
特に本補助金の交付決定の取消し・加算金の納付・罰則(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)のほか、他の補助金の交付を受ける事ができない・行政の入札参加資格を失うといったペナルティが課せられる場合があります。
中部経済産業局の登壇者が本説明会の最後に仰った言葉が印象的でした。
「支援策を活用して、どうかうまく立ち上がってください!」
この点について弊社としても全く同様の願いをもっています。
各種復興支援というのは基本的に自ら手を挙げる必要がありますので、行政の施策については積極的に情報を取得するようにした方が良いと思います。
補助金の期限について
第一回の公募は次のとおりです。
(2)受付期間
令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)【公募要領】(経済産業省PDF資料)より抜粋
令和6年2月1日(木)~ 2月16日(金)
10:00~12:00 及び 13:00~17:00 /月曜~金曜(土日祝日を除く)
ここまで短い事には理由があり、現在「令和5年度中」であるためです。
「令和6年度(=2024年4月以降)も予定している」との話が本説明会で一応出てはいます。
また、本説明会において「二次公募以降の内容については基本的には一次公募の内容に近いはず」というお話がありました。
あまりにも受付期間が短いので、一次公募を見送って二次に向けて準備するのも良いですね。
ただし、準備と言っても実際に交付を受ける予定の補助事業の実施(壊れた機材を買うとか)を二次公募に先行して行う場合は注意してください。
その辺りの適用できるかの要件については細かい規定がありますので、必ず確認を取った方が良いでしょう。
二次公募以降の三次・四次と実施されるかどうかは国の予算次第です。
予算を使い切って公募終了というのは補助金ではよくある話ですので、いずれにしても早目に手を挙げるべきだとは思います。
補助金の主な条件について
細かい規定のオンパレードではありますが、まずは本補助金を受けることができるかどうかざっくりとチェックをしてみてください。
本補助金は国の指定する伝統的工芸品関係を特別枠として復興支援しようとするものです。
まずは一次の公募要領を見てみましょう。
○補助対象者
補助対象者は、被災県において、伝産法に基づき指定された伝統的工芸品を製造する、又は伝統的工芸品産業の活性化を支援する以下の者であって、生産設備等が当該災害により被害を受けた者です。
①特定製造協同組合等※1並びにその構成員
②製造事業者※2及びそのグループ、製造協同組合等※3※1:伝産法第4条第1項に定める特定製造協同組合等をいう。
令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)【公募要領】(経済産業省PDF資料)より抜粋
※2:伝産法第4条第1項に定める製造事業者であって中小企業基本法第2条に定める中小企業者をいう。
※3:製造協同組合等とは、伝産法第4条第1項に定める製造協同組合等(特定製造協同組合等を除く)をいう。
まずは下記5つの条件について、ご自身が対象となるかご確認下さい。
①被災県にある事業所であること
この点について「激甚災害の指定」とは別概念であるため注意が必要です(参考:経産省)。
現在指定されている激甚災害地域は簡単に言えば震災被害の大きかった地域ということになりますが、本補助金における「被災県」とは文字通り「石川県、新潟県、富山県、福井県の4県全域」が対象となります(Q&A2月 p7問5参照)。
②伝産法の指定による伝統的工芸品に関連していること
本補助金は国が指定している伝統的工芸品への特別な復興支援枠です。
まずはこの指定された伝統的工芸品に該当しているかの確認が必要です。
(参考)全国マップから工芸品を探す(伝統工芸 青山スクエア)
具体的には次の通りです。
【石川県:10品目】加賀友禅、九谷焼、輪島塗、山中漆器、金沢仏壇、七尾仏壇、金沢漆器、牛首紬、加賀繍、金沢箔
【富山県:6品目】高岡銅器、井波彫刻、高岡漆器、越中和紙、庄川挽物生地(材料)、越中福岡の菅笠
【新潟県:16品目】塩沢紬、小千谷縮、小千谷紬、村上木彫堆朱、本塩沢、加茂桐簞笥、新潟・白根仏壇、長岡仏壇、三条仏壇、燕鎚起銅器、十日町絣、十日町明石ちぢみ、越後与板打刃物、新潟漆器、羽越しな布、越後三条打刃物
【福井県:7品目】越前漆器、越前和紙、若狭めのう細工、若狭塗、越前打刃物、越前焼、越前箪笥
③製造・支援をしていること
- 特定製造協同組合等並びにその構成員
伝統的工芸品のホームページに掲載のある「産地組合」と同義です。
例えば石川県輪島塗のページであれば輪島漆器商工業協同組合が掲載されています。
ここに掲載のある組合か加入している事業者、ということになります。 - 製造事業者及びそのグループ、製造協同組合等
この製造事業者とは文字通り指定された伝統的工芸品を製造している事業者、ということです。
後段の「グループ、製造協同組合」とは前述の特定製造協同組合よりも小規模なものです。
例えば、複数の事業者が小規模なグループを作って一括して申請するような状況を想定しているようです(Q&A2月 p7問6参照)。
④生産設備等が災害により被害を受けたこと
この点について特に次の点に注意してください。
○当該災害により被害を受けていない事業者等、補助対象とならない者が補助金を受けた場合は、補助金の交付決定の取消や交付済み補助金の全額返還(加算金付き)等の処分を受ける可能性があります。
Q&A2月 p6問1参照
⑤製造事業者については中小企業者であること
少々細かいですが、この点について中小企業法は次のような定義をしております。
およそのところ資本金の額又は出資の総額、常時使用する従業員の数、主たる事業で区分されております。
中小企業法
中小企業基本法(e-gov)
(中小企業者の範囲及び用語の定義)
第二条 この法律に基づいて講ずる国の施策の対象とする中小企業者は、おおむね次の各号に掲げるものとし、その範囲は、これらの施策が次条の基本理念の実現を図るため効率的に実施されるように施策ごとに定めるものとする。
一 資本金の額又は出資の総額が三億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人であつて、製造業、建設業、運輸業その他の業種(次号から第四号までに掲げる業種を除く。)に属する事業を主たる事業として営むもの
二 資本金の額又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、卸売業に属する事業を主たる事業として営むもの
三 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社及び個人であつて、サービス業に属する事業を主たる事業として営むもの
四 資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社及び個人であつて、小売業に属する事業を主たる事業として営むもの
(2項以下、省略)
補助額の上限と対象となる経費について
補助額の上限について
およそのところ次のようになっております。
正確なところは必ず確認をしてください。
| ○補助対象事業・補助率 | ①生産設備等整備事業 [補助率:3/4以内] ②原材料確保・試作品製作事業 [補助率:3/4以内] |
| 補助金交付額 【上限】 | 原則1,000万円 ※例えば、補助対象経費100万円の場合は国庫補助金75万円 |
ここのポイントは、多くの各種補助金制度で見受けられる「下限がない」という点でしょうか。
小規模な被害であっても活用できるということになります(Q&A2月 p8問2参照)。
対象経費について
およそのところ次のようになっております。
正確なところは必ず確認をしてください。
| ①生産設備等整備事業 伝統的工芸品の製造を再開するために必要な設備・機器・道具等(塗師風呂、窯、ろくろ、刷毛、工具等。)の購入費(設置に係る費用を含む)及び修繕費(ただし、不動産購入、建物の建設費用、被災により毀損された既存設備・機器等の撤去費及び処分費用は除く。) |
| ②原材料確保・試作品製作事業 伝統的工芸品の製造を再開するために必要な原材料の購入費(災害により破損した商品の修繕、又は代替の商品を製造する際に必要な原材料を含む。ただし、原材料は被災前1年間における使用量相当量以下に限る。)及び型等の試作・製作費上記に係る企画会議や調査等に必要な通信連絡費、試作品製作費、輸送費、委員謝金、専門家謝金、調査旅費、会議費、会場費、資料収集費、映像資料等作成費、報告書作成費、原材料費、分析調査費、外注費 |
対象経費は2つに大別できます。
まず、前者の「生産設備等整備事業」ですが、「壊れた設備などを新調」して事業を再開しようというものです。
注意点としては「棚に並んだ商品が震災で落ちて傷付いたから補填」という方法では使えないというところでしょう(Q&A2月 p9問4参照)。
後者の「原材料確保・試作品製作事業」については、まず「被災前1年間における使用料相当量以下」という要件には注意すべきでしょう。
この点につき「過大」だと判断された場合にはペナルティがかかる場合もあります(Q&A2月 p10問12参照)。
その他、重要な注意点は沢山ありますので、必ず経済産業省のホームページを確認してください。
スケジュールについて
まずは申請から交付までの大まかな流れについて確認しましょう。

まず注意すべきは応募申請をしてすぐに本補助金が振り込まれるわけではない、という点です。
遡及適用といった細かい規定はありますが、行政の担当者と確認しながら手続・実施を進めていくことが無難であると言えます。
また、一次公募においては補助事業実施(生産設備の購入等)の期限が令和6年3月31日という点(Q&A2月 p10問13参照)、そして、原則として実績報告書の提出期限が令和6年4月10日であるという点にも注意が必要です(Q&A2月 p11問1参照)。
特に前者について、令和6年3月30日は土曜、31日は日曜であるため自己資金について融資を利用する場合は金融機関が空いていない事が想定されるためご注意ください。
申請方法について
最後に申請方法について見て行きましょう。
現在、各種補助金制度の多くはオンラインにて手続をする必要がある場合が多いです。
しかしながら、本件についてはオンライン手続で必要なID取得の労力・必要時間を考慮してとのことで次の3通りの手法を取ることが可能です。
【受付方法】
令和5年度伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)【公募要領】(経済産業省PDF資料)より抜粋
申請書類は、郵送、電子メール、又は補助金申請システム「J グランツ」によりご提出ください(持参は不可)。
※郵送で提出する場合は、封筒に赤字で「伝統的工芸品産業支援補助金(災害復興事業)事業計画書在中」と記載して下さい。
J グランツでは、電磁的記録による申請を受け付けるとともに、当該申請システムを通じて行われた申請に対しては原則として、当該申請システムで通知等を行います。
なお、J グランツの利用にあたっては、G ビズ ID の取得(https://gbizid.go.jp/top/)が事前に必要となり、当該 ID 取得には2~3週間を要するので注意して下さい。
おわりに
本ページの最後に再度の注意喚起となりますが、不測の事態を避けるため、必ず手続を行う際には最新の情報を参照するようお願い申し上げます。
(参考)
経済産業省ホームページ
中部経済産業局ホームページ
中小企業庁ホームページ
中小企業基盤整備機構ホームページ


