高齢者の認知機能検査制度

身近な法律

高齢者関係の道路交通法が改正され、令和4年5月13日に運転技能検査制度が施行されました。平成21年から開始されている認知機能検査と並行して行う場合もあるので合わせて把握しておいた方が良さそうです。

認知機能検査とは一定の場合(通常は免許更新時)に検査を行って、認知症のおそれを簡易的に判断するという制度になります。運転技能検査制度と同様に、免許の更新に必要となるので合格がなければ運転免許証の更新を受けることができません。 なお、この認知機能検査で「認知症のおそれあり」との判定が出ても、認知症であることが確定するわけではありません。認知症かどうかはその後の医師の診断で判断される仕組みです。

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認知機能検査を受けることになる条件とは?

  • 75歳以上で運転免許をお持ちの方
  • 一定の場合であること

というものになっています。
一定の場合というのは次のとおりです。

  • 運転免許の更新をする場合
  • 一定の違反行為があった場合

それぞれの場合で認知機能検査がどのような流れになるか少しだけ詳しく見ていきましょう。

運転免許の更新による検査の場合

免許の更新時には認知機能検査というものを受けなければなりません。

内容について警察庁によれば

認知機能検査は、受検者の記憶力や判断力の状況を確認するための簡易な手法であり、医師の行う認知症の診断や医療検査に代わるものではありません。

https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/ninchi.html

とされています。仕組みがややこしいので、とりあえず具体的な検査内容は置いといて、まずは概略を掴みましょう。運転技能検査制度での解説より若干詳しく見てみますので、大まかな全体像を掴みたい方は先にこちらをご覧ください。

注意点としては「更新期間満了日前6カ月以内」という受検期間があることでしょう。
運転技能検査制度の方でもそうでしたが、75歳以上のドライバーが増加することで地域によっては予約が取りにくい状況が見込まれます。また、新型コロナ対策も相まって定員が減ってしまっている可能性もあります。いずれにしても6ヶ月前に通知が来ますので、早目に予約を取ることをお勧めします。

なお、最近は詐欺に強盗に高齢者をピンポイントで狙った犯罪が多発しています。くれぐれも「本当に行政からの連絡なのか?」は気を付けてください。電話しろと書いてあって話を聞いてみたら数万円振り込めとか言い出したら100%詐欺です。
ちなみに警視庁HPによると手数料は以下のとおりです。執筆時の情報ではありますが、少なくとも数万円とか数十万円の費用がかかるなんてことは考えられません。

  • 運転技能検査 3,550円
  • 認知機能検査 1,050円
  • 高齢者講習 6,450円(普通自動車の運転免許の場合)

一定の違反行為による検査の場合

免許更新以外で検査が必要になる場合は一定の違反行為があった場合になります。

道路交通法施行規則が元ネタになりますが極めてわかりにくいので、警視庁が挙げている18の類型を見てみましょう。以下、警視庁からの引用です。

  • 信号無視
  • 通行禁止違反
  • 通行区分違反
  • 横断等禁止違反
  • 進路変更禁止違反
  • 遮断踏切立入り等
  • 交差点右左折方法違反
  • 指定通行区分違反
  • 環状交差点左折等方法違反
  • 優先道路通行車妨害等
  • 交差点優先車妨害
  • 環状交差点通行車妨害等
  • 横断歩道等における横断歩行者等妨害
  • 横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害
  • 徐行場所違反
  • 指定場所一時不停止等
  • 合図不履行
  • 安全運転義務違反

以上、引用でした。
運転技能検査制度での違反行為とは似ていますがちょっと毛色が違いますね。
「なんで逆走したの?そんなミス普通はしないよね?」というようなニュアンスがあるように感じます。高齢者がこういうミスをするのは何らかの認知機能が低下しているからではないか?という趣旨ではないかと思います。
ペナルティとまでは思いませんが、近年多発している高齢者による交通事故の増加を懸念しての対策だと思います。事実、平成24年度よりも令和4年度の高齢者死亡者割合は増加しています(令和4年度警視庁統計データ)。

上記の違反行為があった場合、通知が来るので「通知から1ヶ月以内」臨時認知機能検査というものを受検しなければなりません。検査の概要としては認知機能検査と同様です。 日時指定はありますが、事情により変更は認められています。ただ、そのまま放置してしまうと運転免許の停止処分等になりますのでご注意ください。
一定の違反行為による検査(臨時認知機能検査)の流れは前述の更新時の検査の流れに似ています。検査の結果、認知症のおそれがあると判断されてしまった場合には医師の診断という流れになります。なお、ここで「おそれがある」と判断されてしまったからと言って認知症が確定したわけではない点も先ほどの話と同様です。
その後、医師の診断によって認知症の判断がなされることになります。
一定の違反行為の場合の臨時認知機能検査の大まかな流れは次のようなものです。

まとめ

まずは認知機能に関する検査が2通りあるんだというイメージで良いかと思います。更新時と違反行為時ですね。いずれにしてもお知らせがあったのに忘れてすっぽかしてしまったら、自動車の運転はできなくなってしまうのでご注意ください。
長くなってしまったので認知機能検査の内容については別の機会に譲りたいと思います。

なお、認知症ではないとしても、ご自身で認知機能の低下を感じたら「遺言」を書くことを強くお勧めします。
遺言書というのは家族への想いを表現したものです。
つまり、家族へのラブレターであって、決してネガティブなものではありません。

遺言の規定のある現在の民法の下では「遺言者に意思能力がないと判断された」遺言は効力がないと裁判で言われてしまいます。意思能力がない代表例はまさに認知症が発症して症状が進んでしまったような状態です。
ちなみに裁判で言われてしまうということは、ご自身のご家族が骨肉の争いをしている状態なのです。普通は裁判の手前で解決するものですが、裁判で遺言書を争っていることは余程の事情が生じてしまっていることになります。

要するに、遺言というものは「元気なうちにしか」書くことができません。

元気なうちに愛するご家族へラブレターを書く、素晴らしいではありませんか。長年連れ添った旦那様や奥様への愛や感謝の気持ちを精一杯綴るのです。大切な息子や孫に感謝の気持ちや人生の金言を託すのです。決してネガティブな行為ではありません。こんなにも愛の籠った手紙を他に私は知りません。
遺言の正しい書き方について細かいことを言えば本が数冊書けてしまう話になります。しかし、遺言の有効性の問題であるとか遺言の実効力の問題であるとか遺族の紛争可能性その他もろもろ細かい話を一切考慮に入れないとして、最低限次の要件だけ守れば文句なしで形式的に100点です。
要するに、弊社になぞ相談する必要などありません。

  • 文章だけでなく作成日付、氏名まで書く
  • 必ず全てをご自身で手書きする
  • ハンコを押す

たったこれだけです。なんならチラシの裏にでもさらさらっと書いて、上記の要件を満たせば形式的には有効な遺言です。ただ、愛する人へのラブレターなので、できればお気に入りの便箋などに書いて欲しいところです。「お父さん、こんな大事な話をスーパーの安売りチラシの裏に書かないでよ!」って言われちゃいそうです。そしてその安売りチラシは下手をすると100年とか200年とか家宝として保存されますね。恥ずかしくなければ大丈夫です、遺言の有効性の問題に一切影響はありません。
ええ、恥ずかしくなければですけど。
・・・便箋に書きましょう。恥ずかしいですって1000年晒されたらどうするんですか。

民法
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089

75歳以上になれば毎回運転免許の更新時に必ず認知機能検査を受検することになります。こんなにも簡単な事なのだから、毎回更新時に「遺言を書くかどうか」の判断を真剣に考えることをお勧めします。

なぜなら有効な遺言行為が次回の更新の時にできるとは限らないからです。

私の父方の祖母は、私が幼少の時から若くして認知症を発症してしまいました。話を伝え聞くしかないのですが発症が50代だったと記憶しています。
私が物心ついたころには既に意思疎通ができない状態で、もちろん遺言行為などできるわけがありません。終には祖母が何を考えてどう生きたのか一切知る機会がありませんでした。
残念なことに、私は父方の祖母と意思疎通をしたことがありません。


認知症というものはなりたくてなる人など1人としていません、それは断言できます。
これは想像でしかありませんが、ただただ、気が付いたらそうなってしまっているのだと思います。

元気なうちにご家族にラブレターを書く「ことができる」
誇張しているわけではなく、これは本当に素晴らしいことだと私は心の底から思います。

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