2025年4月1日に東京都カスタマー・ハラスメント防止条例が施行されるため、情報をとりまとめました。
本記事は東京都のものを中心に解説していきますが、例えば北海道においても同様の条例が制定されています(北海道カスタマーハラスメント防止条例について:北海道)。
2022年の厚生労働省の指針を受けての動きですので、全国的にも注視すべき話であるといえるでしょう(「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!:厚生労働省)。
奨励金等各種支援策も予定されておりますので、以下、ご参考になれば幸いです。
詳細につきましては東京都ホームページへの各種リンクを掲載しております。
記事については執筆時点の情報ですので、最新の情報をご確認するようお願い致します。
執筆:2025年3月30日
条例の概要
東京都では、令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されます。
本条例においては「何人も、あらゆる場において、カスタマー・ハラスメントを行ってはならない。」とされておりカスタマー・ハラスメントの禁止が掲げられています(条例4条)。
その一方で、「この条例の適用に当たっては、顧客等の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。」とされており、顧客への配慮についても求められています(条例5条)。
本条例に罰則はありませんが、社会全体の意識を変えるための大切なルールと言えるでしょう。
近年、顧客からの過剰な要求など、カスタマー・ハラスメントが問題視され、メディアでもたびたび取り上げられています。
顧客と事業者が互いに尊重し合える環境をつくることは、日本の健全な経済発展にとって欠かせません。
日本には「おもてなし」の文化がありますが、それは顧客だけのものでなく、事業者や従業員にも配慮されるべきものです。
罰則がないからといって軽視せず、この文化が双方の視点から広まっていくと良いですね。
カスタマーハラスメントとは?
『顧客等から就業者に対し、その業務に関して行われる著しい迷惑行為で、就業環境を害するもの』と本条例に定義されています(条例2条5号)。
また、厚生労働省においては次のように説明されています。
『不当・悪質なクレームは、従業員に過度に精神的ストレスを感じさせるとともに、通常の業務に支障が出るケースも見られるなど、企業や組織に金銭、時間、精神的な苦痛等、多大な損失を招くことが想定されます。』(『カスタマーハラスメント対策企業マニュアル』厚生労働省PDFp1より引用)。
なお、このカスタマーハラスメントについては令和元年6月の労働施策総合推進法等の改正により、職場において雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務とされています(『令和2年6月1日施行 「女性活躍推進・ハラスメント防止対策」についての解説動画』厚生労働省YOUTUBE)。
東京都の施策について
本条例の施行に際して東京都は次のような施策を予定しています(令和7年3月28日産業労働局のPDF参照)。
※奨励金・補助金の詳細については後日、東京都ホームページにて公開予定ですのでそちらをご確認ください。
TOKYOはたらくネット(東京都雇用就業部HP)
なお、本施策については「2025東京戦略(東京都HP)」推進に向けての取り組みです。
「戦略06 働き方 安心して働ける労働環境の整備(東京都HP)」を参照。
企業向け奨励金制度
一般の企業向けの制度です。
条例施行日(令和7年4月1日)以降、マニュアルを整備し、実践的なカスハラ防止対策を行った企業等に対し、定額40万円の奨励金が支給されます。
主な要件は以下のとおりです。
- 時期:2025年6月募集開始予定
- 奨励金:定額40万円
- 要件:(1)と(2)を満たす必要があります。
(1)カスハラ防止対策マニュアルの作成
(2)以下①~③いずれか1つの取組の実施
① 録音・録画環境の整備
② AIを活用したシステム等の導入
③ 外部人材の活用
団体向け奨励金制度
各業種の業界団体や経済団体、労働組合、その他の関連団体などが対象となっているものです。
会員企業およびその従業員向けに防止対策の体制を整備した場合、最大100万円の奨励金が支給されます。
主な支給要件は以下のとおりです。
- 時期:2025年6月募集開始予定
- 奨励金:最大100万円
- 要件:それぞれの施策を行うことが必要です。
なお、申請し、東京都が交付決定した取組であることが必要です。
(1)企業向けカスハラ対策方針の策定・周知(20万円)
(2)カスハラ防止対策のサポート窓口の設置(40万円)
(3)カスハラ対策研修の実施(20万円)
(4)外部人材等活用によるカスハラ対策の実施(20万円)
団体向け補助金制度
防止対策普及団体向けになります。
顧客との接点を効果的に活用し、防止対策と条例の普及に東京都と連携して取り組む団体を支援します。
- 時期:2025年4月募集開始予定
- 補助率等:補助率1/2、補助上限5000万円
相談窓口の設置
東京都は、4月1日から事業者等からのカスタマーハラスメントに関する電話相談を開始します。
6月頃からは専門相談員を配置した電話相談も開始予定です。
- 時期:2025年4月1日
- 電話番号:03-5320-4620
平日9時から17時(祝日および年末年始を除く)
セミナー等による普及啓発
業界団体と連携し、カスタマーハラスメントの課題が深刻な業種を中心としたセミナーを実施します。
また、業界団体に対して、専門家派遣を通じた会員向けの防止対策マニュアルの作成を支援するコンサルティングも開始予定です。
- 時期:2025年6月事業開始予定
- 団体向けセミナー:業界団体と連携し、カスタマーハラスメントの課題が深刻な業種を中心としたセミナーを実施します。
- 団体向けコンサルティング:業界団体に対して、専門家派遣を通じた会員向けの防止対策マニュアルの作成を支援します。
ガイドラインの策定
東京都は、条例に基づき、「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定しました。
このガイドラインでは、カスタマーハラスメントの内容、顧客、就業者および事業者の責務、東京都の施策、事業者の取組など、カスハラを防止するために必要な事項が定められています。
詳細は、東京都の公式ホームページからダウンロードできます。
「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定しました(東京都HP)
まとめ
本条例の施行により、事業者や団体は、カスハラ防止対策を積極的に推進することが求められます。
特に奨励金要件の「①録音・録画環境の整備」や「②AIを活用したシステム等の導入」は現在の技術水準であっても、例えばAIに面談時の議事録や要約を作成させるといった活用が見込まれます。
AIを活用した業務効率化は非常に面白い分野ですので、ご検討してみてはいかがでしょうか。
奨励金やガイドライン支援策などを活用し、従業員が安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。
関連ページへのリンク
【厚生労働省関係】
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月5日公布)の概要(厚生労働省HP・PDF)
令和2年6月1日施行 「女性活躍推進・ハラスメント防止対策」についての解説動画(厚生労働省YOUTUBEチャンネル)
職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)(厚生労働省HP)
「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を作成しました!(厚生労働省HP)
【東京都関係】
令和7年4月1日から「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行します(東京都HP)
東京都カスタマー・ハラスメント防止条例(東京都HP)
「カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)」を策定しました(東京都HP)
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)(東京都HP)
【その他道府県関係】
北海道カスタマーハラスメント防止条例について(北海道HP)
群馬県カスタマーハラスメント防止条例(仮称)に関する意見募集について(群馬県HP)
カスタマーハラスメント防止対策に関する協議会(愛知県HP)
カスタマーハラスメント防止対策(三重県HP)


