遺言を書くにあたって遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第8回目は「第1回目の宿題の答え」についてを見ていきます。
第1回目に出した問題
第1回目の宿題について、これから答えと解説を書いていきます。
まずはご自身で考えて読み進めてみてください。ちょっとしたクイズと思えば楽しいですよ。
まず、どんな問題だったかを見てみましょう。
事例はこのようなものでした。

A郎さん・B郎さんが不幸にも同時に亡くなってしまったという話ですね。
このとき相続関係はどのようになりますか?という問題でした。
相続人を考える上でのポイント
最初にお話しさせて頂いたところですが、相続事件というものは1件1件考えなければなりません。
この事例は1件の相続事件ではないんです、あくまでもA郎さん・B郎さんの2件の相続事件として考える必要があります。
ですから、これは2件の相続事件だなと認識することが全てのスタートラインです。
第1回目にも挙げた話ですが、次の観点から話を組み立てるだけです。
宿題
山田A郎の法定相続人は誰でしょう?
山田B郎の法定相続人は誰でしょう?
あくまで2件、別々の話として処理するという意味です。
同時死亡のケースなので本件はどちらから考えても良いですが、B郎さんの相続事件の方が簡単なのでそちらから見ましょうか。
B郎さんの法定相続人
B郎さんの相続人として、まずは妻のB子さんですよね。配偶者は生存していれば常に相続人です。
そして、次は「順位」の話を考えると、子供という第一順位のC郎さんがいるのでそれで話は終わりです。図示すると次のようになります。

B郎さんの相続人としてはB子・C郎というのが答えになります。
次はA郎さんの相続事件を見てみましょう。
A郎さんの相続事件
A郎さんの相続事件では前回の記事でテーマにした代襲相続を考える必要があります。
もう一度条文を見てみましょう。
民法
e-gov法令検索(民法)
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定(相続欠格 ※筆者注)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
ここで「以前に死亡したとき」とありますよね。「以前」というのは同時を含みますよね。
よって、同時死亡の推定について適用のある本事例についても代襲相続が生じます。
図示するとこのようになります。

A郎さんの相続人としては、A子・C郎というのが答えになります。
宿題の答え
宿題の答え
山田A郎の法定相続人は誰でしょう?
➡A子・C郎
山田B郎の法定相続人は誰でしょう?
➡B子・C郎
さて、次回はシリーズの総まとめとして「亡くなる順番が違ったら?」を見ていきます。
ご自身で相続人を考えるとき最も難しいのはおそらくここでしょう。
時系列がほんの少し違うだけで何もかも話が変わります。