私の相続人はだれ?⑥

相続手続

遺言を書くにあたって遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第6回目は「愛人の子と相続」についての考え方を見ていきます。

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認知をした婚姻外の子(非嫡出子)

嫡出子・非嫡出子の話をまともにやってしまうと、非常に難しい論点に踏み込まねばなりませんので、あっさりいきましょう。各種国家試験の受験生ですら苦手意識のある人が多いと思われる難しい論点が山のようにあるのでさらりと概要だけ見ていきます。

嫡出子(ちゃくしゅつし)とはおよそのところ結婚している夫婦の子です。戸籍の届出義務があるのでばっちり戸籍に「長男」とか身分関係とともに記載されます。

しかし非嫡出子(ひちゃくしゅつし)という身分関係の子も存在します。正確ではありませんが、およそのところ結婚していない男女の子です。奥さんがいるのに浮気をして愛人に子供ができちゃったようなケースです。そんな最悪なケースばかりではありませんが、まずはこれがイメージしやすいのではないかと思います。
この話を図示するとこのようになります。

非嫡出子と相続人の関係

何もしなければ非嫡出子のC雄はB郎の戸籍には載らず、相続人にはなれません。
しかし、認知(にんち)という制度があり、認知がなされるとB郎の第一順位の相続人となります(任意認知につき民法779・781、強制認知につき民法787本文、死後認知につき民法787但書・910参照)。

通常、「認知」が問題になる局面というのは養育費の側面になるかと思います。
しかし、相続手続という側面から考えると、法律上の父がいるのかいないのかではその後の財産関係が大きく違ってきます。
B郎さんの財産の多寡にもよりますが、正当な相続権があるかないかというのは養育費以上に大きな問題に繋がります。

なお、林野B美さんという愛人っぽい設定の人を登場させましたが、当然相続人ではありません。
もしB郎が財産を渡したい事情があるのであれば、遺贈をするなどの対策を打っておかないと1円も行くことはありません。

ちなみにですが、旧法下において嫡出子・非嫡出子で取り扱いが違ったのですが、平成25年の最高裁判例によって覆りました(最判平成25年9月4日)。重要違憲決定として憲法が科目になっている試験では色んなところで登場する頻出知識ですね。
そしてこれを受けて民法改正がなされたという経緯があり、現行法下においては嫡出子・非嫡出子で取り扱いに違いはありません。

まだまだ踏み込めばいくらでも細かい話があるのですが、この辺りの話を押さえておけば大抵の話は対処できるのではないでしょうか。
しかし、まだ「第一順位」について極めて重要な論点が残っています。
次回は「代襲相続」について見ていきましょう。

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