遺言を書くにあたって遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第5回目は「連れ子と相続」についての考え方を見ていきます。
第一順位の相続人
基本的な考え方は先日の記事でご紹介した通りです。
細かい話は山ほどあるのですが、知っておいた方が良い論点を補足しておきます。
まずは、もう一度根拠条文から見てみましょう。
民法
e-gov法令検索(民法)
(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
前回の話は1項でした。
ざっくりと「第一順位 子」と説明させて頂きました。
この点について少々補足しておきます。
まず、ここで言う「子」とは養子縁組で戸籍に入った子も含まれます。
養子縁組をした子
養子縁組という制度は様々な理由から「自分の子供にする」という制度です。
およそのところ、「他人の子を自分の子供とするのだ」とイメージをすれば足ります。
厳密に言うと普通養子縁組と特別養子縁組で相続分野に対する考え方が若干違います。
ただ、いずれの場合においても養親の相続人になる点で違いはありません。
一例を挙げるなら、連れ子がいる女性と結婚したケースでしょうか。
いわゆるシングルマザーの女性ですが、現実にもありそうな話かもしれません。
縁組をしていなければB郎の相続人は妻B子と実子C郎だけですが、養子縁組をすることによってC雄が加わります。
B郎としてはC雄を自分の子供として育てる意図でB子と結婚をして、実際に愛情をもってC雄を育てていたかもしれません。
しかし、相続手続においてこのケースだと養子縁組をしていなければC雄は相続人となれません。
事実上の問題としてC雄に取り分を渡すことは可能ですが、相続税でなく贈与税の対象となる可能性が生じています。各種相続手続全体として見ると色々と問題が生じてしまう状況と言えます。
もちろん、B郎の「C郎こそ自分の先祖から受け継いだ血を分けているのだから」というような考えを否定するわけではありません。正解不正解があるような話ではなく、あくまでもご自身の財産をどうしたいか?という話になります。
私個人の意見としては、実の子として育てたのであれば、C郎だけでなくC雄の将来も見据えて考えてあげた方が良いのではないかと思います。
縁組をした年齢によると思いますが、C雄から見て「お父さん」は育ての親であるB郎ということだってありますから、きちんと考えてあげた方が良さそうです。
次回は「愛人の子と相続」の話について見ていきます。