遺言を書くにあたって、遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第6回目は「法定相続分を具体的に考える」というテーマで見ていきます。
まずは前回の復習からです。
配偶者を交えた法定相続分の考え方
前回の話を踏まえて図示するとこのようになります。

ポイントは均等割りされない部分と、される部分があるという所でしょうか。
日本は一夫多妻制ではありませんから、配偶者は常に1人or0人です。
なので、配偶者の法定相続分が均等割りされるという事態はありません。
それでは具体的な事例として考えていきましょう。
事例は山田B郎の相続事件です。B郎さんが亡くなったとして他の家族の法定相続分はどうなるか?という視点で見てください。
クイズ形式にしますので、読み進める前に答えを考えてみてください。
配偶者と第一順位の場合

【解説】
このケース、配偶者:第一順位=1:1でした。
ですので、まず配偶者の法定相続分は1/2でここが動くことはありません。
次に第一順位ですが、残りの1/2をC郎・C子・C次の3人で均等割りすることになります。
従って、この3人の法定相続分は各1/6となります。
もちろん子が4人なら各1/8、子が5人なら各1/10となる話です。
ポイントは「子だけ」で均等割りしているという点でしょう。
【答え】
各人の法定相続分
B子=1/2
C郎・C子・C次=各1/6
配偶者と第二順位の場合

【解説】
このケース、配偶者:第二順位=2:1でした。
ですので、まず配偶者の法定相続分が2/3となってここが動くことはありません。
次に第二順位ですが、残りの1/3をA郎・A子の2人で均等割りすることになります。
従って、この2人の法定相続分は各1/6となります。
もちろん、A郎が先に亡くなっているという事情があれば相続人はA子だけという事になりますから、A子が1/3をそのまま相続することになります。
【答え】
各人の法定相続分
B子=2/3
A郎・A子=各1/6
配偶者と第三順位の場合

このケース、配偶者:第三順位=3:1でした。
ですので、まず配偶者の法定相続分が3/4となってここが動くことはありません。
次に第三順位ですが、残りの1/4をB郎姉・兄の2人で均等割りすることになります。
従って、この2人の法定相続分は各1/8となります。
第一順位のときと同様に、B郎の兄弟姉妹が3人なら三等分となり各1/12、4人なら四等分となり各1/16となります。
【答え】
各人の法定相続分
B子=3/4
B郎姉・兄=各1/8
以上、おおよそのルールは掴めたでしょうか。
以上で、法定相続分の計算の基本の話は終了です。
この法定相続分を基準として遺留分を計算していく流れになりますが、それは次回以降に譲ります。