遺言を書くにあたって、遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第4回目は「法定相続分の割合」というテーマを見ていきます。
ここは割と有名な話なのでご存じの方も多いと思います。
配偶者以外の同順位の間は均等割り
まずは簡単なところから見ていきましょう。
前回のシリーズでも登場したとおり、民法が定めた相続人というルールは非常に厳格です。
配偶者はいれば常に相続人ですが、その他の人達は「優先順位」というものがあります。
子供がいれば子が第一順位、子がいなければ親が第二順位、その親もいなければ第三順位で兄弟姉妹という関係にあります。
ここで言う「均等割り」は「その他の人達」が複数人いたらどうするの?という話になります。
まずは民法の条文を見てみましょう。
民法
e-gov法令検索(民法)
(法定相続分)
第九百条
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
たったこれだけの話ですが、具体的に見た方がわかりやすいと思います。
話がややこしくなるケースは配偶者がいる話なので、配偶者は先に亡くなっているという事例にしましょうか。
第一順位が複数いるケース(配偶者なし)
図示すると次のような状況です。

山田B郎さんの相続事件を考えるとき、子がいるのであれば第一順位の相続人です。
後の論点に対応できるよう、登場人物が多いですが結局のところ、この事例ではC郎・C子・C次の3人だけがB郎さんの相続人になります。
第一順位の子の中で「相等しいものとする」というルールですから、各人の法定相続分は1/3となります。仮に子が4人いるのであれば1/4ですし、5人いるのであれば1/5というわけです。
法律用語に直すと「按分・案分(あんぶん)」という言い方をしますが、要するに「均等割り」というわけです。
第二順位が複数いるケース(配偶者なし)
上記の事例で第二順位というパターンは次のような状況です。

この事例では子がいないので第二順位の相続人となり、A郎・A子の2人だけです。
第二順位の直系尊属(親)の中で「相等しいものとする」というルールですから、各人の法定相続分は1/2となります。
第三順位が複数いるケース(配偶者なし)
上記の事例で第三順位というパターンは次のような状況です。

この事例は子もおらず、親も先に亡くなっているような事例ですので第三順位の相続人となり、B郎姉・B郎兄の2人だけです。
第三順位の兄弟姉妹の中で「相等しいものとする」というルールですから、各人の法定相続分は1/2となります。
もちろん第一順位のときと同様に、B郎の兄弟姉妹が4人いるのであれば1/4ですし、5人いるのであれば1/5というわけです。
さて、ここまでは前座です。
次回は「第一順位と配偶者の場合」にどうなるかを見ていきましょう。