昨日7月30日に、本年度1回目の協議会にて正式に豊島区地域包括支援センター運営協議会の委員を受嘱致しました。
行政書士として高齢者の法的支援、豊島区認知症「介護者の会」のボランティア活動を行っておりますので、日常的に包括支援センターとは連携を取って動く事も多いと言えます。
そういうご縁もあって、委嘱頂いたという経緯になります。
さてこの運営協議会、位置付けとしては附属機関という機関になります。
何やら行政法の学習の題材になりそうな話ですね。
せっかくなので根拠を追ってみましょうか、地方自治法が出発点です。
地方自治法
地方自治法
第百三十八条の四 普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
② 普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
③ 普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。
第二百二条の三 普通地方公共団体の執行機関の附属機関は、法律若しくはこれに基く政令又は条例の定めるところにより、その担任する事項について調停、審査、審議又は調査等を行う機関とする。
② 附属機関を組織する委員その他の構成員は、非常勤とする。
③ 附属機関の庶務は、法律又はこれに基く政令に特別の定があるものを除く外、その属する執行機関において掌るものとする。
これを受けて、豊島区では次のような条例を制定しています。
豊島区附属機関設置に関する条例
豊島区附属機関設置に関する条例
(趣旨)
第1条 この条例は、法令又は他の条例に定めがあるものを除くほか、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項及び第202条の3第1項の規定に基づき、区長及び教育委員会(以下「執行機関」という。)の附属機関の設置、担任する事務、組織その他附属機関について必要な事項を定めるものとする。
(設置及び担任事務)
第2条 執行機関の附属機関として、別表に掲げる附属機関を置く。
2 附属機関の担任する事務は、別表附属機関の欄に掲げる附属機関の区分に応じて、それぞれ同表担任事務の欄に定めるとおりとする。
別表に目を通すと、このように記載があります。
附属機関 | 担任事務 | 委員の定数 | 委員の任期 |
豊島区地域包括支援センター運営協議会 | 地域包括支援センターの設置及び運営等に関すること。 | 10人以内 | 2年 |
(1) 区長の附属機関
そもそも地域包括支援センターとはどういった組織なのでしょう。
地域包括支援センターの根拠は介護保険法にあります。
介護保険法
介護保険法
(地域包括支援センター)
第百十五条の四十六 地域包括支援センターは、第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)及び第百十五条の四十五第二項各号に掲げる事業(以下「包括的支援事業」という。)その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設とする。
2 市町村は、地域包括支援センターを設置することができる。
3 次条第一項の規定による委託を受けた者(第百十五条の四十五第二項第四号から第六号までに掲げる事業のみの委託を受けたものを除く。)は、包括的支援事業その他第一項の厚生労働省令で定める事業を実施するため、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を市町村長に届け出て、地域包括支援センターを設置することができる。
4 地域包括支援センターの設置者は、自らその実施する事業の質の評価を行うことその他必要な措置を講ずることにより、その実施する事業の質の向上を図らなければならない。
5 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業を実施するために必要なものとして市町村の条例で定める基準を遵守しなければならない。
6 市町村が前項の条例を定めるに当たっては、地域包括支援センターの職員に係る基準及び当該職員の員数については厚生労働省令で定める基準に従い定めるものとし、その他の事項については厚生労働省令で定める基準を参酌するものとする。
(以下、省略)
介護保険法施行規則
介護保険法施行規則
(法第百十五条の四十六第一項の厚生労働省令で定める事業)
第百四十条の六十四 法第百十五条の四十六第一項の厚生労働省令で定める事業は、次の各号に掲げるものとする。
一 第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものに限る。)
二 法第百十五条の四十五第一項第二号に掲げる事業のうち、次に掲げるもの
イ 特定の被保険者(第一号被保険者に限る。)に対し行われる事業の対象となる者の把握を行う事業
ロ 介護予防に関する普及啓発を行う事業
ハ 介護予防に関する活動を行うボランティア等の人材の育成並びに介護予防に資する地域活動を行う組織の育成及び支援を行う事業
ニ 介護予防に関する事業に係る評価を行う事業
ホ 地域における介護予防に関する活動の実施機能を強化するためリハビリテーションに関する専門的知識及び経験を有する者が当該介護予防に関する活動の支援を行う事業
三 法第百十五条の四十五第三項各号に掲げる事業
施行規則の事業を行うため、特別区である豊島区においても地域包括支援センターをこうして設置しているわけです。
そして我々運営協議会の担任事務である「設置及び運営等」は例えばこのように反映されています。
豊島区地域包括支援センターの運営及び職員に係る基準に関する条例
豊島区地域包括支援センターの運営及び職員に係る基準に関する条例
(基本方針)
第3条 地域包括支援センターは、次条に規定する職員が協働して包括的支援事業を実施することにより、各被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、法第24条第2項に規定する介護給付等対象サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービス、権利擁護のための必要な援助等を利用できるように導き、被保険者が可能な限り、住み慣れた地域において自立した日常生活を営むことができるようにしなければならない。
2 地域包括支援センターは、豊島区地域包括支援センター運営協議会の意見を踏まえて、適切、公正かつ中立な運営を確保しなければならない。
豊島区地域包括支援センター運営事業実施要綱
豊島区地域包括支援センター運営事業実施要綱
(目的)
第1条 この要綱は、豊島区地域包括支援センターの運営及び職員に係る基準に関する条例(平成27年区条例第13号。以下、「条例」という。)第3条に基づき、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援するため豊島区地域包括支援センター(以下、「センター」という。)の運営事業(以下、「本事業」という。)に係る必要な事項を定めることを目的とする。
豊島区地域包括支援センター運営協議会設置要綱
豊島区地域包括支援センター運営協議会設置要綱
(所掌事項)
第2条 運営協議会は、次に掲げる事項を所掌する。
(1) センターの設置等に関する次に掲げる事項の承認に関すること。
① センターの担当する圏域の設定
② センターの設置、変更及び廃止並びにセンターの業務の法人への委託またはセンターの業務を委託された法人の変更
③ センターの業務を委託された法人による予防給付に係る事業の実施
④ センターが予防給付に係るマネジメント業務を委託できる居宅介護支援事業所
⑤ その他運営協議会がセンターの公正・中立性を確保する観点から必要であると判断した事項
(2) センターの運営に関すること
(3) センターの職員の確保に関すること
(4) その他の地域包括ケアに関すること
昨日はまさに、地域包括支援センターの令和5年度の実績報告・令和6年度の事業計画の審議を行ったところです。
ある意味、私たち運営協議会が何か不適切なことはないか目を光らせているわけです(笑)
もっとも、ちょっとそういう事態は想定できませんけどね。
当然ながら実績報告や事業計画などは審議の対象にかかりますから、それなりに適切な資料が提出されますし、各センター長からしっかりと説明がなされています。
むしろ「こういう方向性も考えてみても良いのではないか?」という運営の方針決定に関与できる点で、行政書士として私がこの場に出るという意義があると思っています。
特に行政書士という職域は本当に広く、高齢者サポートの面で言えば、法定後見や任意後見による権利擁護はもちろん、遺言書・死後事務委任契約書・尊厳死宣言公正証書・家族信託契約書の作成サポートなど多岐に渡ります。
私はこの協議会のほか、豊島区住宅対策審議会の委員も委嘱頂いております。
第二の故郷とも言える豊島区という地域をよりよいものにできるよう、どちらも微力ながら貢献していきたいと思います。