2023/6/16閣議決定について(相続分野)

相続手続

内閣府HPにて『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)が掲載されました。
民間手続等の見直しの中で相続手続の効率化が掲げられていますので相続分野に関して取り上げたいと思います。
近年、相続登記の義務化(令和6年施行)であるとか相続関係の制度が目まぐるしく改正されています。

簡単にまとめてみましたが、詳細は内閣府HPを参照頂きたく思います。
なお、あくまで「計画」であって今すぐ変わるという話ではない点、ご留意頂きたく思います(改正情報ではありません。)。

No.15 相続手続の効率化
(a前段)戸籍のオンライン申請・交付への取り組み
 →令和5年度上期措置
(a後段)オンライン化に適合しない戸籍への取り組み
 →令和5年度から継続的に措置
(b)戸籍のオンライン申請・交付の検討
 →継続的に措置
(c)法定相続情報一覧図のオンライン交付の検討
 →継続的に措置
(d)自動で法定相続人を特定する仕組みの検討
 →継続的に措置
(e)自筆証書遺言保管制度のオンライン申請・交付の推進
   通知対象者を1名から複数名への増加(民間事業者を含む)の検討
 →令和5年度上期措置
(f)自筆証書遺言のデジタル化の検討
 →令和5年度措置
(g)公正証書遺言等のオンライン作成・交付の改正法案提出
 →措置済み
(h)遺産分割協議書等のオンライン提出への取り組み
 →令和5年度措置
(i)相続登記手続のオンライン完結への取り組み
 →a,e 措置後、速やかに措置

『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)より要約

個人的に注目しているのは(e)の自筆証書遺言保管制度の取り組みでしょうか。
現行法下の自筆証書遺言保管制度については法務省HPを参照ください。

現在の民法で遺言書には基本的には「検認」という手続が要求されています(詳細は裁判所HPへ)。
この検認という制度は「偽造を防ぐ」といった観点で生まれたものなのですが、過料というペナルティまであるので相続人視点でめんどくさい手続となってしまっています。
しかし、検認手続が不要となる制度が現在2つだけ存在します。

そういう意味で自筆証書遺言保管制度は公正証書遺言と並んで極めて便利な制度ではありました。
ちなみに一律3900円となっていて、公正証書遺言よりも遙かに安価です。
デメリットとしては、公証人の関与がないため法的安定性が相対的に低い事と(形式面しか相談できません)、手書きの遺言書の現物が手元には残らない事でしょうか。

ここで公正証書遺言よりも明らかに優位的だったのはこの「通知制度」だったんですね。
これが以下のように変わるかもしれません。

通知対象者に指定できるのは現在1名であるところを複数名(民間事業者を含む。)に増やすなど、対象範囲の無限定化及び対象となる人数の拡大等を検討する。

『規制改革実施計画』(令和5年6月16日閣議決定)より引用

ぱっと想像するだけでも、例えば遺言執行制度との連携が想定できます。
現状、『遺言執行者に選定されたは良いが亡くなった事が伝わらない』という制度的な問題点がありましたから、大幅に改善される気がします。

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