個人情報の話題ついでですのでこちらもご紹介させていただきます。
高齢者をピンポイントで狙った広域強盗など極めて悪質な犯罪が増えています。 政府も対策に乗り出してはいますが、我々国民としても自衛手段を講じるべきです。
その対策の1つとして「本人通知制度」の利用が挙げられます。
本人通知制度
大前提になりますが、執筆時令和5年3月現在、全国一律の制度ではありません。
各自治体が独自にそれぞれ取り組んでいるというのが現状といったところです。
ですので、具体的にはご自身が住んでいる場所の役所へ個別に問い合わせる必要があります。
まずはざっとどんな制度なのか確認しましょう。
本人通知制度には大別して2つのタイプがあります。
・被害告知型
・事前登録型
被害告知型の本人通知制度
被害告知型の流れ
市区町村役場で「不正取得にかかる本人通知制度」といった表現がなされていたらこれです。
おおよその流れは何か犯罪事件が発覚した際に、その取得された被害者の一覧の中にご自身の名前があれば、役所から通知がされるというような流れになります。
こちらの本人通知制度は事前に一切何もしなくて大丈夫です。

被害告知型で通知が来た場合の対応
被害告知型では何らかの犯罪事件の発覚をきっかけにするものですから、不正取得がなされた可能性が大きいと言えます。不正取得した第三者に対する開示請求を市区町村役場に行って、例えば弁護士会や司法書士会などの団体に調査を依頼するなどして対応をする流れになるでしょう。
いずれにしても、こうなると弁護士にご相談された方がよろしいかと思います。法律に詳しくないと対応は難しいかもしれません。
弁護士に相談と聞くと報酬が高いというイメージがあるかもしれませんが、各自治体での相談会であるとか、法テラスでの相談であるとか無料相談でいける場合もありますので「お金がないから無理」とは思わないでください。
被害告知型を実施している市区町村役場
例えば、東京都荒川区ではこのタイプになります。
じゃあ23区は全てそうなのかというと、そうでもなく新宿区・渋谷区・豊島区などほとんどの特別区は執筆時の令和5年3月時点では本人通知制度自体がそもそも実施されていません。
ですから正確なところは市民課など各自治体に直接電話して聞いてみる必要があります。
一概に言えませんが、東京都・神奈川県・石川県・福井県・長野県・愛知県・福岡県・宮崎県などのうちの一部の市区町村役場でこちらの実施が多いように思います。
荒川区役所ホームページ
小田原市役所ホームページ
事前登録型の本人通知制度
事前登録型の流れ
市区町村役場で「事前に登録してね」という表記があればこちらになります。
まず、希望者が事前に「自分以外の人が戸籍や住民票を取得したら通知してくれ!」と役所に登録をします。こちらは登録しておかねば以下の流れにはなりません。
その後、第三者が請求をしたら交付をした後に、注意喚起の意味合いでご自身に通知がなされるというような流れになります。

事前登録型で通知が来た場合の対応
こちらは被害告知型と違って、不正取得だったかどうかは関係ありません。
事前登録さえしていれば「第三者が取得した」というだけで本人通知がなされます。正当目的であっても不正取得であっても連絡が来るというわけです。
こちらも被害告知型と基本的な流れは同様で、開示請求をした後に各団体に調査依頼をすることになります。対応は難しいと思われますので、弁護士にご相談した方が良いのではないかと思います。
対応についても被害告知型と同様に、各自治体での相談会であるとか、法テラスでの相談であるとか無料相談でいける場合もあります。
事前登録型を実施している市区町村役場
日本全体として見てみるとこちらの制度を採用している市区町村役場が多い傾向にあります。ただあくまで多いというだけで、ご自身の住む市区町村役場に問い合わせてみる必要はあります。
例えばさいたま市、大阪市、名古屋市などではこのタイプになります。
埼玉県ホームページ
横浜市ホームページ
名古屋市ホームページ
京都府ホームページ
大阪府ホームページ
福岡市ホームページ
本人通知制度はあまり強い制度ではない
お気付きの方もいらっしゃると思いますが、各自治体が実施しているこれらの制度はまだまだ不十分であると言わざるを得ません。
被害告知型も事前登録型も結局のところ「不正取得あったかもしれないよ」というお知らせをくれるというだけの制度になってしまっています。個別の対応はご自身の判断で行わなければなりません。
なんでこんな制度になっているかというと、各自治体による条例というのは法律に違反することができない事になっていることが話の出発点のように思います。
極論ですが、各自治体が独自に「うちの市では刑法なんか適用しない!」なんてできるわけありませんよね。法律とは国会が作った国全体のルールですから、これを自治体が蔑ろにするわけにはいきません。各自治体の裁量により個別に対応しているとはいえ、それも限界があるわけです。
地方自治法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067
第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
戸籍法・住民基本台帳法を見てみると本人のほか、一定の「第三者(本人以外の人という意味)」も取得できると明記されています。
第三者であったとしても「条件を満たせば取得できる」と法律に書かれているので、ここで「事前登録があったんだから取得はさせないよ」と条例で言えない理屈になります。
なんで第三者が取得できるケースがあるんだ!?と思われるかもしれませんが、典型例は弁護士が裁判の相手の住所を探す場合でしょう。わざわざ「え、訴えるの?わかった、うちの住所はね~」なんて教えてくれる相手など珍しいと思います。ですから「本人にしか取得を絶対に認めない」という制度設計にすることもまた難しいという事情が垣間見れます。
そういうわけで「被害報告タイプ」も「事前登録タイプ」も法律に書かれている要件を満たしているのであれば、各自治体としてまずは第三者に取得を認めざるを得ないというわけでしょう。
要するに各自治体で個別に対応するのも限界があるというわけです。
政府としても広域強盗の対策に本腰を入れようとしているみたいですから、もっと実効性のある仕組みが今後実施されることを期待するしかありませんね。
現状は日本全体の統一ルールではありませんし、制度そのものの実効性の面でまだまだ十分だとは言えません。
まとめ
- 戸籍や住民票の個人情報を守る制度がある。
- 各自治体で取り扱いが違うので確認する必要がある。
- 「事前登録型」は前もって役所へ登録する必要がある。


