私の相続人はだれ?②

相続手続

遺言を書くにあたって遺留分という制度を知っておいた方がよく、遺留分を計算するためには相続制度を知る必要があります。
第2回目は「相続人」の基本的な考え方を見ていきます。

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血が繋がっていないと相続人にはなれない

割と常識的なところだと思いますが大事な考え方です。
念のため見ておきましょう。

日本の戸籍制度は「相続のためにある」と言っても過言ではありません。
遺産争いというものは古来より続く典型的な紛争原因ですから、非常に厳格なルールを準備しています。

一緒に住んでいるオジサンであっても、もちろん大切な「家族」には違いありません。
しかし、日本の相続制度は非常に厳格なルールを定めています。
その1つが「血が繋がっているか?」になります。
もっと言えば、「戸籍を見て血が繋がっているか?」という意味になります。
一緒に住んでいる仲の良いオジサンであっても、戸籍に一定の身分関係が書かれていなければ相続人にはなれません。

用語の整理

また定義か・・・と思わないでくださいね。
どんな学問にも「正確な用語」というものがあります。
化学だったら「C」が炭素だと認識できないと話にならないでしょう。
理系文系を問わず全ての学問は「用語の理解をする」というのが最初の一歩です。

事例式に引き直した方がわかりやすいので、こちらの人物関係を元に考えてみましょう。

血族・姻族・親族の考え方
血族(けつぞく)

出生から血縁関係のある者たちを血族と言います。
上記の例だと山田B郎から見てA郎・A子やC郎が血族です。

姻族(いんぞく)

婚姻によって関係が生じた者たちを姻族と言います。
上記の例だと山田B郎から見て配偶者のB子の父母・B子の弟が姻族です。

親族(しんぞく)

民法上決められた、一定の範囲にある者たちを親族と言います。
上記の例だと登場人物全員が親族です。

細かいところは良いのですが一応親族について触れておくと、民法に規定があります。

民法
(親族の範囲)
第七百二十五条 次に掲げる者は、親族とする。
 六親等内の血族
 配偶者
 三親等内の姻族

e-gov法令検索(民法
ややこしい区分がある理由

なんだかややこしい区分ですね。
こんなややこしい区分をなぜ作ったのか?それは制度ごとによって範囲を決める必要があったからです。
そうざっくり理解すれば足りるかと思います。

一例を挙げるのであれば、後見開始の審判などがあります。

民法
(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

e-gov法令検索(民法

仮に「4親等内の『血族』」しかダメなのであれば、B子の弟について審判を申し立てる必要があるときにB郎は絶対に不可能となってしまいます。
どんなに仲が良かったとしても、一緒に住んでいたとしても、です。
B子が生存していれば血族であるB子ができるので問題は生じませんが、先にB子が亡くなっている場合だってあるでしょう。
そういった時にB郎は四親等内の親族ですから申立人になることができます。

さて、話を戻しましょう。
再三になりますが、相続人を考えるときのルールについて、まずは「血が繋がっているか」を考えるとわかりやすいと思います。
上記の例を考えてみると、山田B郎の相続事件であればB子の弟は血族ではありませんから、基本的には相続人になることはありません。

法定相続人の基本的な考え方

まだまだルールは沢山あるので、話は次回に譲ります。
次回は「相続における配偶者」の考え方です。

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