宅建試験の学習方法【宅建試験】

身近な法律

12/15にフォロワーさんのスペースにて宅建試験の学習方法について語る事になりました。
せっかくなので当時の学習方法などを簡単に振り返ってみたいと思います。

当時、私は他の資格試験を年間を通じて受験勉強を行っていました。
そちらを毎日勉強しておりましたから、宅建試験に時間を割く事ができなかったんです。
そこで「3週間だけは宅建試験の受験勉強をしても良い」というルールのもと宅建の勉強を独学ではじめました。
私が受験したのは令和2年12月の宅建試験だったのですが合格率が13.1%、合格点36問という受験生目線で厳しい年度でした。
しかし、学習対策の方向性が宅建とマッチしたのでしょう。
なんとか44/50を取る事ができ、合格することができました。

その辺りのノウハウを簡単にお伝えできたらと思います。

失点計画について

おそらくこんな計画立てていたのは私くらいじゃないかと思うのですが(笑)。
過去問研究をしまくった結果、何問のミスが許容されるのか?という視点になったんですね。
まずはそちらを見てみましょう。

民法  6/10
権利その他  4/4
都市計画法1/2
建築基準法1/2
各種規制法3/4
各種税法2/3
宅建業法19/20
免除科目4/5
合計40/50
失点計画

この計画のもと徹底的に対策を行って受験をしたわけですが、民法以外の結果を見てみましょう。

権利その他4/4
法令上の制限 7/8
各種税法3/3
宅建業法16/20
免除科目4/5
試験結果

私も他の受験生と同様にこれらの科目はほぼゼロからの学習でしたが、それでも実現可能な目標であるというのをご確認頂ければと思います。

宅建試験の民法は結構難しい

上記の計画を立てるにあたった理由ですが「宅建民法って難しくないか?」という話に尽きます。
当時、民法については初学者ではなく絶対的な自信がありコンスタントに満点を取るレベルだったのですが「普通の受験生は民法は半分くらいしか頑張っても取れないのではないか?」と感じたのです。
従って「民法を半分くらい取れるレベルでみんな合格しているのではないか?」という仮説に対する検証のような形で宅建の過去問を30年ほどぶん回して学習していたのですね。

結論は表題の通り「宅建試験の民法は結構難しい」という事になりました。
例えば私の受験したR2(12月)問8においては法定相続分の計算問題が出題されました。
ただ、これ「尊属は代襲ではなく按分」という論点が出ているんですね。

相続分の計算(R2-12-8)

結論としてはE~Gが按分で4000万円なのですが、非常に厳しい出題だと思います。
卑属への代襲相続の計算なんかは常識的なところだと思いますが、出題されたこの論点については行政書士試験や司法書士試験の受験生であっても厳しい出題であると思います。
で、取るべき対策ですが「基本書と過去問を完璧に仕上げる」これしかないと思うのです。

勘違いして欲しくないのは「民法を蔑ろにせよ」という趣旨ではない点です。

民法は法律学の基礎の基礎です。
宅建試験においても同様で、民法がわからないと特別法である宅建業法もわかるわけがないのです。
売主の契約不適合責任が理解できないと瑕疵担保履行法の意味がわかるわけがありません。
要するに民法は宅建業法の理解の基礎となるので超重要科目なんです。

しかし、その重要科目である事と「得点しやすさ」が一致しておりません。難問は必ず出るが、深入りはせずに基本書と過去問学習だけに留めておく、この姿勢が重要かと思います。
行政書士試験用や司法書士試験用のテキストを読み込む、これはナンセンスで。
それよりも宅建業法をコンスタントに満点を取れる実力養成の方が喫緊の課題かと思います。

民法の学習方針について

何から学習するかですが、宅建業法の一般法である民法から着手すると良いと思います。
ポイントとしては「試験範囲を自分で広げないこと」これに尽きます。
即ち「宅建試験用の」テキストを完璧にこなすこと、まずはこれです。
過去問学習についても、民法初学者には厳しい知識が多数出題されているという認識も必要でしょう。
1~4の肢の知識レベルって均一じゃないんですよね、残念ながら。
例えば次のような設問だったらどうでしょうか。

肢の知識レベルは均一ではない

問1 漫画ドラゴンボールに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.ドラゴンボールはナメック星でしか作ることができない。
2.サイヤ人は戦闘民族であり、孫悟空はその末裔である。
3.ピッコロ大魔王は、地球から遠く離れた星より来た宇宙人である。
4.ナメック星におけるシェンロンを呼び出す呪文はタッカラプト ポッポルンガ プピリットパロである。

上記1~3肢の知識レベルと4肢の知識レベルが全く違うという事がわかりますでしょうか。
過去問学習をする事は必須なのですが、「重要知識を見抜く目を養う」という姿勢も大事です。
先の出題例であれば1~3肢を完璧に仕上げる必要はありますが、4肢については余裕があればという事になります。
ここで「余裕があれば」というのは宅建業法がコンスタントに9割ほど得点できるようになってからという事です。
そして多分、そんな日は受験生時代には来ませんし、来た人は合格して受験生から卒業してます。

山場は35書面・37書面である

まず大前提として宅建試験で宅建業法の攻略は必須中の必須です。
コンスタントに満点近い点数が出るレベルまで持って行く必要があると思います。
特に「35条書面・37条書面」という分野がありますが、ここが急所中の急所です。
なぜなら、宅建試験はこの「35条書面・37条書面」に全科目の知識が集約されるからです。
ですので全範囲の学習と合わせて「35条書面・37条書面」の表を手元に置きながら学習すると良いかもしれません。

具体的な学習方法について①

これは全ての国家試験共通ではないかと睨んでおりますが、私の宅建試験の学習は次のようなものでした。

ひたすらこの繰り返し

①ある分野(例えば民法の時効)を学習する。
②その分野の過去問をひと通り学習する。
③テキストに注釈を入れる。

ひたすらこの繰り返しです。
特に、テキストに出てきた知識についてはピンポイントで「このテキストのこのページあたり」って浮かぶくらいの精度を心掛けると良いかと思います。
最終的に試験直前の段階では「年度別」の問題集をひたすら解きまくっていましたが、それまでは「分野別」の問題集を解きまくっていましたね。
「年度別」の良いところは強制的に全分野を触る事ができるという点です。
本試験での時間管理の訓練にも適していますね。
最終的に1日3年分をノルマとして解いていた形跡がありましたので参考までに。

具体的な学習方法について②

これもよくオススメしている学習方法なのですが「cfで繋ぐ」というものです。
宅建試験は分野間・科目間の繋がりが非常に多いという特徴があります。
ある知識を勉強したときに「これあの話に似てるな」というのが沢山出てくると思います。
これをそのまま放置せずに「cf権利p120」「cf業法p40」みたいにリンクさせるんです。
これってその知識の解像度が高くないとできないんですよね。
連想ゲームに近い話ではありますが、知識が有機的に繋がると記憶の維持もしやすくなる気がします。

具体的な学習方法について③

いわゆる「サブノート」や「まとめノート」を作るかどうかについてですが、私は作っていました。
ただ、基本的には「メインテキストへの情報の一元化」というのを心掛けていました。
テキストや過去問を2~3周すると「急所」というのが見えてくるのではないかと思います。
例えば私は期間系について細かく整理をして徹底的に比較をしていましたね。
参考までに当時のメモを載せておきます。

※内容面でのチェックは一切行っておりません。従って参考にするのは構いませんが流用・再配布は控えて頂けると助かります。

ノートにまとめた後で写メでスマホに保存するというのが良かったですね。
iPadに保存して、暇ができたら撮ったノートを何度も何度も読んでいました。
細切れの時間の活用として凄く良かったと思います。

具体的な学習方法について④

試験という性質上「覚える」という事を求められます。
しかし、「理解する」という側面を軽視してはいけないと私は思います。

例えば、小学校の頃に「掛け算九九」を暗記させられますよね。
この暗記が三度の飯よりも好きというのならやれば良いと思います。
ただ、そういう人に限って「2x13は?」と聞かれると途端に「覚えてないからわからない」となるんです。
そうじゃないですよね、公式を理解さえしておけばすむ話じゃないですか。
しっかり理解している人は習っていなくても2を13回足せば答えを出せるはずなんです。

これは法律の学習においても同様だと思っています。
公式(=条文)を理解していくのが試験勉強としても大事なんです。
勿論、「知識を覚えて肢の正誤を判断して設問を正答する」というのがゴールです。
結局のところ半端に理解をすっ飛ばして暗記に走ってしまうと、忘れてしまうし、知識が混同してしまうし、百害あって一利なしだと思うんですよね。

具体的な学習方法について⑤

私が短期で合格した理由の一つが「専業受験生だった」という事があります。
当時、他の資格試験を目指して仕事を辞めて受験に専念していたのですが、文字通り「起きている間ずっと勉強」していました。
学習記録を付けるアプリを利用していたのですが、週に100時間というのが1つのノルマでした。
1日にだいたい17時間とか18時間とか勉強した、と言うと「よくそんなに勉強できるね、無理だわ」みたいに言われる事が多々あります。
秘訣の1つとしては「勉強を楽しいものにする」という深層心理の書換えがあると思います。

人間の本質的なところで「理解すること」って楽しい事なんです。
幼い子供が「お父さんあれなあに?」「お母さんこれなあに?」という質問シーンを目にした事はありませんか?まさにこれが人間の本質だと私は思います。
大人になってから「趣味」がそれぞれあると思いますが、幼少の頃に気が付いたら夕方になっていたように時間を忘れて没頭するというまさにこれが「集中」だと思います。
そしてこの「趣味」の話はとんでもなく深い知識・継続した知識に昇華するじゃないですか。あるバンドのこのアルバムのこの曲を、2000年のライブで演奏したこのアレンジが~とか、好きな趣味って「勉強する要素」があるはずなんです。

理解することは人間の本質として楽しい。
楽しいから長時間机の前に座っていられる。
学習態度として理解を中心に据えるので忘れない。
悪意の塊である試験委員のひっかけにも惑わされない。
こういう話に繋がると思うんですよね。

人間はそもそも楽しい事しかできませんし続きません。
ですから、学習対象を「楽しい事」に変えるんです。

宅建試験は非常に優秀な資格試験である

最後にモチベーションの上がるような話をしましょう。
私は宅建試験って非常に優秀だと思います。
まず、内容面として民法の特定物売買をしっかり学習できるという点です。特に登記の対抗要件の問題であるとか、法律学習の第一歩として非常に大事な概念です。ですので、法律の初学者にとって非常に良い学習素材と言えるでしょう。

次に、年代別にキャリアの観点からメリットとなり得る話を列挙してみましょう。

通則的

・就職活動に有利である
 →法律文書を読める力があると評価される。
 →資格の知名度が段違いに高い。
・不動産業界で働くならステップアップで必須。
 →大手だと支店長クラスで宅建持ってない人を見た事がないレベル。
・不動産業界以外でも金融や保険等幅広く活用できる知識
 →世の中90%以上は住宅ローンを組んでの売買です。

20代で目指す人

・キャリアアップのため
 →銀行員などで昇格試験の要件で必要資格である場合がある。
・自分の身を守ることにもなる
 →不動産の購入は人生での一大イベント。

30代以降で目指す人

・転職活動に有利に働く
 →特に主婦層等で子供の義務教育が終わったタイミングの方など。
 →全く関係のない業種であっても宅建保有が就職活動で有利に働く場合も多い(40代の知人女性の話で採用理由が法律系への素養がある点であった。)。

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